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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第142号       ’02−06−21★

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     アイドル・アイドル

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●「気力型政治家の限界」

 

と言われるほどに迫力が無くなってしまった小泉総理。 諸先輩歴代の

<先送り>が一斉に襲いかかったこの1年、さぞお疲れだろう。

 

人間なら、、 と同情に吝かでないが、ご本人は「就任以来、一番元気」

と言い、映画鑑賞や競馬観戦、アチコチに顔を出し、、 良いのかな?

 

もちろん<W杯>も逃さず、しかもたまたまその日「歴史的1勝」した

から試合後、「最高! 燃えたね」。 聞いた記者たちの間に失笑が、、

とあった。 「感動した!」で感動させた人が今は嗤われる有為転変。 

 

 

相手に共感する人に<失笑>は無いはず。 こりゃダメだ、と思われて

いるんですぜ、小泉さん。 初めの頃のあの覇気、どこ行った?

 

「答弁も記者会見もやりたくない」、「疲れた」など頻発し始めたのは

4月。 その頃は未だ<愚痴>のレベル、と思いましたが、

 

5月15日の記者会見では北鮮亡命者連行事件について、語句を求めて

彷徨うかのごとく切れ切れの上、文の体をなさぬ答弁。 22日の予算

委員会では<質問の取り違え>、

 

29日の内閣委員会では<意味不明答弁>、そして6月7日には記者団

とのやり取りで約20秒間の<異様に長い沈黙>。 こりゃイカン、、

 

事業の代表者がこんな有様だったら、たちまち取引先に見放されますぜ。

上に立つとは我が身を曝すこと、アイドル idol を演じること。 その

行動がアイドル idle ではサマにならない。 

 

我が総理の idol ぶりにみんな期待したが、その高支持率を生かすこと

ついになく idle に後退や妥協を重ね、今や党内では「どう退かすか」

が論じられているそうな。 ああ、偶像とは墜ちるもの、、か。

 

 そして管理職は職場の idol。 まさかあなたは idle じゃ、、?

 

*   *

 

せっかく<燃える>素質のある小泉さん、相撲や競馬やサッカーでなく、

本職の方で<燃える>男を演じ続けて欲しかった。 しかし

 

<燃えない>ところもチラつかせましたな。 起きた不祥事にコメント

を求められる都度まるで他人事、「冷静に、毅然と、本人の判断で、」

対処するよう指示しました、なんて<冷静>におっしゃるあたり。

 

ダメと目されている<本人>が、ろくな<判断>するわけ無いでしょ?

体裁だけは<冷静>や<毅然>を繕え、と<指示>した、みたいですぜ。

そんなの指示じゃない、と私は思うが、マスコミは追及しない。

 

で、安心したのか、ウィルスに感染したように各大臣もまた、「冷静に、

毅然と、、」の繰り返し。 具体的な行動を指示しない点までソックリ。

そんなの念仏だよ、、 で、ピラミッド組織の古典的笑い話を思い出す。

 

社長が「火の用心せよ」と命じ、承った重役が部長に「火の用心せよ」。

部長は課長に、課長は係長に、係長は班長に、、<忠実に>指示を伝達。

最後承った底辺社員、何したら良いか困って叫んだ。 「火の用心!」

 

これじゃ火事は予防できない、出火したら打つ手が無い。 指示伝達の

各段階で肉付けし、それぞれの職位職種に応じた<行動>を割り当てる

ようにしないと結局は何も実行されませんぞ、という教訓的なおハナシ。

 

<念仏>になるのを避けるには<何のために何をするか>、 Rational

Process で言う<ステートメント>の形で示すと宜しい。 命じられて

動くのが組織人、ステートメントなら命じるに分からせ易く、動くには

それが錦の御旗、迷わずに済みます。

 

そんな基本テクニックすらも無くて、この国では大臣になれるんですな。 

  

*   *   *

 

<燃える>男と思わせたのは彼のラジカルな語り口。 構造改革に抵抗

するんだったら「そんな自民党、私が潰す!」。 痛みはあろうが、米

百俵の精神! うーん、これなら何かやりそうだ、、 

 

中身は無い、ただの煽動家、、 と断じる人もいたが、あのように全身

で主張する(人であるようにマスコミが印象づけましたな)リーダーに

惹かれてしまう集団心理は、動物的というか、リクツ抜き。

 

即ち、魚群の行動を観察してコンラッド・ローレンツいわく、

 

 「小型の魚が密集した大きな群れは、優柔不断のカリカチュアだ。

  、、、この動きをじっと見ていると、じつにいらいらしてきて、

  どうも民主主義というものが疑わしくなり、右翼政治にも見所

  があるような気になってくる」  (<攻撃> みすず書房)

 

今や世界の<ナッシング>日本。 どの分野もリーダーからして矮小化、

まさに<雑魚の群>です。 アジアに出なくちゃ、ITやらなくちゃ、、、

右往左往するあたりは優柔不断の魚群的行動。

 

そのイライラから強力なリーダーを待望する機運が生じ、これまでのと

は違った人を、、で登場した<変人>首相が<魚群>をリードするかの

ような眺めに。 エーリッヒ・フォン・ホルストの「きわめて単純だが

社会学的にたいそう重要な意味をもつ実験」が連想されました。

 

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●さながら<集団の意思>が

 

あるかのような魚群。 散るかと見えて一瞬に凝集し、行くかと見えて

突然に方向転換、、 いったいどれがリーダーなんだ?

 

と思うのはあなたが<陸上動物>だから。 魚群にリーダーなるものは

いない。 単に生れた場所が同じ、一緒に育ったから一緒にいるだけ。

 

    我々も日本列島に生まれ、日本列島に育ち、一緒にいるだけ、、

 

だが彼らにとって<一緒にいる>ことは大切、防御のための本能的行動

です。 各個体は小魚に過ぎないが、群れて大きな力強い1個体のよう

に行動することにより、攻撃から身を守ることが出来る、、

 

    <日本人>の画一的行動パターンも防衛本能?

 

ホルストが取り上げたのはコイ目の淡水魚<ハエ>。 その1匹に前脳

除去手術を施して群れに入れ戻す。 この1匹は一見正常だが、前脳が

無くなっているので、<接触刺激>を感知することが出来ない。

 

そのため、泳いでいるうちに群れから離れ、他との接触が無くなっても

まるで気にしない。 「そっちへ行こう」と思(ってかどうか?)えば、

仲間の行動に影響されること無く、、

 

 「決然と泳ぎ出す。 するとどうだろう。 全群が彼についてくるの

  だった。 手術を受けた魚は、まさに彼の欠陥によって、まぎれも

  ない総統になったのである」

 

つまりフツーでない、欠けたところのある<変な魚>が群れを率いる形

になった、という。 人間も<決然>たる人物に思わず従うものですが、

問題はその<決然>の正体。 何らかの欠落によるのか、熟考の末か?

 

いっとき小泉氏が<決然>に映ったのは、敢えて永田町的<接触刺激>

を求めない、良い意味で<欠落>の人だったから、ではあるまいか。

 

「自民党、私が潰す!」なんて、フツーじゃ言えませんから、長らくの

自民党的腐敗に嫌気が差し、将来に不安を感じている小魚にはウケます。

ついて行きたくなって不思議なし。

 

それはマキコ女史も同様、あの圧倒的(だった)人気は、その<決然>

故でした。 たとえ何かが欠落していようと、熟考でなかろうと。

 

*   *

 

そのフツーじゃない同士の結んだ手が切れたのは、皮肉にもフツーから

の圧力がもとのようでした。 かくて小泉氏は森前総理や福田官房長官

の影響を脱し得ず、まして「自民党を潰す!」には至らず、、

 

<変人>を全うせず、掲げた看板も偽りだった、、 こりゃフツーだわ。

実際<決然>としなくなっちゃった。 最近の答弁には、愉快の笑いを

誘うリズムは無く、声も力こもらぬボソボソ調、論旨は時に支離滅裂、、

 

一方のマキコ女史も<議員秘書給与流用疑惑>以来、汝もか?! の感。

何だかみんなフツーになって来ちゃった、、 で、目を凝らし直すと、

 

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●この国、このままじゃ、、

 

の危機感がまるで無さそうなローカルな人々が居座って利権論議、現状

打破のためにすべきことが沢山あるのに idle を決め込んでいる。

 

そんな中で「W杯、最高!」とニコニコしている小泉氏は<ノー天気>

(国語辞典にも新語辞典にも載ってない。 同様、<極楽とんぼ>も)

と評されるが、彼だけじゃない。 新聞、TV、そればかり、、

 

こりゃもう<ハメリンの笛吹き>状態。 笛の音に惹かれ、考えること

無しについて行けば、川で溺れるか山に吸い込まれるか、いずれにせよ

行方知れずの No return !  嬉しい話にはなりません。

 

あんなタマ蹴りにハシャグなんて無意味な元気付け、あるいは自己欺瞞

だぜ、、 とカミさん相手に個人演説会開催中、同じような字句に目が

留まりました。 カレル・ヴァン・ウォルフレン「なぜ日本人は日本を

愛せないのか」 (p.18)

 

 「無理に楽観的に振る舞うことなく、また自己欺瞞に陥ることもなく、

  健全な精神状態に到達する方法はある。 その第一歩は、われわれ

  がものを考えるときに使っている概念の多くを、整理し直すことで

  ある。」 

 

  <整理>にはもちろん、ほかの何より Rational Process ですぞ。

 

 

さらに p.21 、

 「社会の行方を心配する人はふえてきた。 それなのに、政治的行動

  に訴え、生活の条件を向上させようとする愛国者は出てこない、、」

 

そして p.23 、

 「巨大な問題の数々が、いつまでも放置されている。 それは明らか

  に、問題を解決する手立てをだれ一人もっていないからだ。 人々

  の面倒を見るはずの当局者は、見当はずれの方向を見ている。、、」

 

1998年の本(毎日新聞社)ですが、よく言い当てているし、4年経った

今も、小泉さんの1年余を見ても、そのまま通用するじゃありませんか。

 

節の表題を拾っても、「筋肉だけで頭脳がない国」、「何も説明しない

説明」、「目的と手段の混同」、「問われない目的」、「議論の不在」、、

 

これらを繋ぎ合わせると、< Rational Process 概論>が出来上がって

しまいそうです。 とにかく<日本>の枠を抜け出よう、それにはよく

考えなくちゃ、のお勧め。

 

*   *

 

たとえば中田英寿が<世界のナカタ>なのは、彼の<考え方>によって

であって、サッカーは単に彼の自己実現手段。 ほかの道に進んでいた

としても、早晩<日本>を抜け出ていたに違いない男です。 idol !

 

逆に、自らはプレーもしない自称サッカー・ファンがTVの前で気勢を

挙げようと、W杯グッズに凝ろうと、顔をペイントしようと、国際人に

なれるわけ無い。 <考え>無し、単なるフツー人の証明。 idle !

 

サッカーの idol たちを賞賛しないほど狭量ではないが、idle を決め

込んでいて良いと思うほど寛容ではない。 商業的マスコミに付ける薬

は無いが、国営的NHKまで人々の知的怠惰を煽っているのは心寒い。 

 

 あれはボールを蹴飛ばすほか、することが無いような人々の暇つぶし。

 我々には、出来ること、すべきこと、ほかにいくらでもあるんだから。

          たとえば Rational Process のウデを磨くとか、、  

 

ウォルフレン氏のように、日本人でないのにこの国を案じてくれる人も

いる。 日本人自身、 idle でない国際的 idol 民族の地位を回復する

努力をせずにいる姿は、それこそ<考え物>ですなあ。

                          ■竹島元一■

   ■今週の<私の写真集から>は、 ★ほかに何も、、★

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